彼女の人生は間違いじゃない

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「彼女の人生は間違いじゃない」
その通りですとも!!と迷わずに言う事ができるストーリー。

原発被害に遭われた人々の現実、
東京で生きる人それぞれの人生。

決して派手な演出はないけれど
福島の現状がそこで生活している人達の目を通して
ジリジリと伝わってくる秀作でございました。

<キャスト>
瀧内広美
高良健吾
光石研
柄本時生

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どんな事でもそうですけれど
辛い状況に打ちのめされたり
被災された方の心情って当事者にしかわからない感覚があるものですよね。
だから自分自身それを知ったかぶりもしたくないし
かと言って無関心でもいたくないなといつも思っている。

でもこの作品のように
現地での撮影やリアルな風景によって
実際福島の被災地に行っていなくても
外側の人間にも伝わってくるものがあって、
やはり知らない事を知らないままにするのではなく
想像力を働かせて少しでも知ろうとする事の重要性を感じました。

『がんばれ福島!!』と書かれたチラシを見て
「頑張ってるよ・・」とつぶやくシーン。

津波にさらわれたまま行方不明の母親。
仮設住宅で父親と二人暮らしのみゆき。
震災前は農家をやっていた父親だが
今は補償金をパチンコにつぎ込んでしまったりと
宙ぶらりんな状況。

お酒を呑みながら亡き母親の話をする父親。
愛する人を失った悲しみは
簡単には拭えないですよね。
大きな衝撃から立ち直る方法や過程って
人それぞれだとも思うし。

みゆきは平日は市役所で働き家に帰れば食事も用意して。
週末は東京でデリヘルのアルバイトをしている、
父親には英会話教室に通っているって事になってる。

ラストに近いシーンでの光石研さんの演技に
泣きました。
津波にさらわれてしまった妻への思いが
一気に溢れてくる場面。





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東京に送られている電気が元の原発。
そこで人災に見舞われた人々を
安易な言葉で励ましたりするのも違うのかなと思ったりする。
一番大切な事は
彼らが自分の足で人生そのものをしっかりと踏みしめ
普段の生活をちゃんと取り戻せる事だと思う。
ただその中でも失った人を想う気持ちはずっとあるだろうし
過去を忘れるとかそういう事ではない。

映画の中では
もがきながらもみんな一生懸命に生きていて
確実に前進している姿が印象的だった。
「希望」とか「未来」といったような明るい言葉は
時に人を虚しくもさせるものだとも感じた
(映画の中でそういった言葉は使われていないですよ*)。
というのも以前の自分の曲にそういった言葉を使った事があったのだが
なんとなく届かない未来を象徴しているような感じで
歌詞に組み込んだ事があったからだ。
まあ言葉は言い方だったり
その時の自分の心境だったり
発し方や受け取る側によっても大いに変わってくるものなのだろうが。

時々ある『この映画を観た◯%の人が涙した感動作!!』といったような
思考停止型映画とは違い
市井の人々の声をすくい上げてくれている本作こそ
多くの人に届いてほしい作品だと感じる。
→ちなみに観る人みんなが感動しなきゃいけない、みたいな表現を使うのは
日本特有だそうです。
アメリカや海外では観客の感じ方はそれぞれ違うから
笑うシーンや泣くシーンもみんな違って当たり前というのが普通。
何でも周りと一緒にしようとする日本的な考えって
かなりおかしいんですよね、本当は。


この映画を観て感じた事は
「彼らの痛みや苦しみが少しでも和らいでいけばいい、
そして人一倍幸せになってほしい」という事。
時間はいくらかかってもいいと思う。

そして日々何不自由なく暮らしていける幸せに
心から感謝し
ここではない場所で生きている人達の事も
忘れずにいたい。







by roswellgg | 2018-09-19 16:07 | YUKO ROSA のかってにコメンテー

数あるブログの中から見つけて頂きありがとうございます。/シンガーソングライターのユウコ・ロサと申します。年間100本以上の映画を観ます。中でも特に印象深かった作品を中心にご紹介。なお掲載写真は引用されているものもありますのでご了承下さい。
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